ぼくは女の人がよくわからない。
いつもぼくの想像の範囲を超えている。 こちらの心を激しくかきまわす。
かきまわせたと思ったら知らぬ間に去ってしまっていっている。
その後には、あらゆる想念と混乱した心がぼくの中に荒々しく残されている。
決して抜けられない。
女は確実にぼくよりも強い。
ぼくはそんな女達を怖れると同時に愛おしく思う。
とても愛おしく思う。
強く光り輝くものを見るような眼差しで、目を細めて眺めてしまう。
イランの女達は輝いている。
イスラム教の厳しい戒律によって戒められた彼女達は、全身を黒いチャドルで覆っている。 顔だけしかみえない。
髪の毛や肌を見せることは固く禁じられている。
がんじがらめだ。
がんじがらめのルールによって縛りつけられている。
普通ならやりきれない。
でも彼女達は街のあちこちに、そのいでたちで活躍している。
銀行やオフィスやレストランで普通に働いている。 違和感がない。
ただチャドルを着ているだけだ。
他のイスラム国、例えばパキスタンなどは、街に女がおらず男だらけだ。
まるで男子校のようだ。
普通のイスラム国はそうなのだけど、ただイランは違う。
もともと、自由主義的なシステムが国のバックボーンにあるからなのか、彼女達はただ、
仕方ないわね、そんなにいうんなら着てあげるわよ」
ぐらいにしか思ってないんではないかと思う。
よく向こうから積極的に話しかけてくるし、実はあの真っ黒なチャドルの下には、とても派手なドレスを着込んでいたり、髪もおしゃれにセットされていたりする。
そのせいか街には女性用の洋服屋がやけに目立っていたりもする。
何より表情がいきいきしている。
そんな女性の表情を見たのは久しぶりだったような気がした。
東南アジアの女達を思い出させる。
輝いている。
彼女達は厳しい戒律だとか取り決めだとか、自分達にかせられた様々な制約を鼻で笑い飛ばしながら自由を謳歌している。
宗教に反発している。
おそらく何ものも彼女達を縛りつけることはできないだろう。
イスラムの神ですら彼女達の圧倒的なパワーを抑えつけるのは無理なのだ。
神をも恐れぬ女達。
ハハハハハ、もう笑っちゃうしかないよね、オレにはできねえもん、そんなこと。
私は日本で育ったイラン人。
ねぇ・・どうしてイラン人が嫌いなの?