扉を閉めると智はベッドの上で狂おしくもんどり打った。
――― あと少しだったのに! ―――
そして、厳格な保護者のような安代を呪った。あそこで彼女さえ来なければ、あのまま俺は…… 頭の中で、奈々の服を一枚ずつ剥がしていく。ああ、安代さえ来なければ…… そして曝け出された、奈々の乳房を、太腿を、ゆっくりと、一つ一つ丹念に味わっていく……… あいつさえ来なければ……… 奈々は、身をのけぞらせて智の舌の動きに敏感に反応する。安代さえいなければ、今頃、俺は……… そして清潔な奈々の性器に口づけし、固く閉ざされた扉をこじ開ける……… ちくしょう! あいつさえ! あいつさえ! 奈々は更に身を捩る。ああ、奈々! 奈々! 奈々! ―――
智は、再びシーツの上で放出した。一体、こんなに傷ついた体のどこにそんなエネルギーが隠されているのか、智の体は、まるで海老のように前後に激しく鞭打ちながら精を放ち続ける。
「うぅあっ、うあっ、うあっ」
思わず智は呻き声を洩らした。智の下半身から、白い精が部屋の壁に向かって噴射する。壁に飛び散ると、それらは重力に従ってゆっくりと降下する。何筋もの精の軌跡が、染み跡として壁に残される。更にそれらは、智の顔面をも直撃し、偶然にも呻いている智の口の中に飛び込んだ。さすがに智も我に返って、口に入った塩っぱいような苦いような液体を、慌てて唾とともに必死になって吐き出した。そして自分がたった今行ったその行為を冷静に振り返り、再び、深い自己嫌悪に陥るのだった。またやってしまった……。ぐったりと項垂れて智は辺りを掃除し始めた。情けなさが胸の奥から込み上げてきて、もう、いっそのこと死んでしまいたかった……。
智は、安代と奈々に会う前に、直規達の所へ顔を出してみることにした。彼らの部屋はすぐに分かった。何故なら一階にある部屋で扉の閉め切られているのはその部屋だけで、後の部屋は全部開け放たれていたからだ。開け放たれたそれらの部屋には直規達はいなかった。
軽く扉をノックすると、中から返事があった。心路の声だった。自分の名前を告げると、ああ、智、入れよ、と心路が言うので、扉を開けて智は部屋に入った。そして部屋の中を見て、腰を抜かす程驚かされた。ヤスとゲンが、裸で直規と心路に踏み付けられているのだ。正座をして、そのまま上半身を折り曲げたような格好で二人の足台にされている。直規と心路は、ヤスとゲンの背中に足を乗せ、リムカの空き瓶にゴム栓とチューブの吸い口をつけた即席ボングでチャラスを回し吸いしている。ヤスとゲンの背中の高さは足を乗せるのにちょうど良く、二人は実に心地良さそうだ。更に良く見ると、彼らは、後ろ手で手首と足首の両方を縛り付けられており、これでは仮に逆らおうとしても全く身動きは取れないだろう。どうりで扉は開けられない筈だ。こんな場面を人に見られる訳にはいかない。智は、恐る恐る直規と心路の二人に聞いてみた。