台風一過で青空がいつもより色濃く、より高く見えますね。
季節によって青空の色は見え方が異なりますが、国や地域によっても色が異なって見えるように思います。
チベット、ヒマラヤ山脈から見る青空は神々しいまでの澄みきった青でしたが、アフガニスタンの土漠から見る青空は巻き上がる塵のせいでよどんだような乳白色の水色でした。
アフガニスタン、イランを旅すると青が特別な色であることを感じさせられます。
これらの国々は土漠の延々と広がる乾燥地帯です。車窓から目にするのは土色の世界だけ。緑の存在すら感じさせません。家々も土から作られ、大地の色と同化しています。
その中にあってモスク(イスラム教寺院)は青と水色の唐草文様でびっしりと埋め尽くされ土色の世界の中に光り輝いています。
唐草文様は生い茂る生命力の象徴であり、青空の色を限りなく取り込もうとした意図が感じられます。
聖と俗の空間ははっきりと区別され、青色が特別な存在であることがわかります。
色彩の極端に少ない風土と自然環境は、いちばん身近な色である青を神聖視する美意識を育んだのだと思います。
またいにしえよりアフガニスタンは青を代表する石ラピスラズリの産地であり、イランは水色を代表する石ターコイズの産地でした。
これらの歴史的背景も深く影響していることに間違いありません。
大地の割れ目より空の色にも等しい石を見つけた太古の人々は、その石に神秘的で超自然的な力のあることを信じて疑わなかったことでしょう。