行きつけの食堂で、隣に座っていた親子の会話が聞こえてきました。
「お父さん、もういらない!」
「ダメダメ、ちゃんと残さず食べるんだよ」
私も小さい頃、「お百姓さんが心を込めて作ってくれたのだから、残さず食べなさい。」と母にたしなめられていたことを思い出しました。
ものを作る人への感謝、自分の血となり、肉となるために犠牲となった動植物への感謝を教えられていたのだと思います。
手を合わせて「いただきます」「ごちそうさまでした」という食事前と食事後に感謝の言葉を表す習慣は日本人ならではの美徳だと思います。
ところが、大陸の中国では、日本と逆に卓に出された食べ物は残すのが美徳とされます。
食べ物を残すのには「食べきれないほどの量をごちそうしてくれて感謝しています」との意味合いが含まれ、食べきるのは卑しい事とされます。
チベットをヒッチハイクで旅をしているときに、中国人の行商と同じトラックに乗り合わせました。
彼らといっしょに何度か食事をしたのですが、とにかく頼み方が豪快です。
卓に乗り切らないほどの皿数を注文しますが、最後の方に出てくるものにはほとんど手をつけることなく残してしまいます。
中国人の習慣は理解しているものの、長年に渡って教え込まれた「もったいない」という考えから、私はいつも最後までモグモグと食べ続けていました。
「なんて卑しい日本人だ」と思われていたかもしれませんね^^;