私の趣味の一つにアンティークの収集があります。
クロマニヨンのアクセサリーにもアンティークビーズを使ったものがたくさんありますが、これは私の趣味の延長線上にあります。
私が初めてアンティークを興味を持ったのは小学生のときです。
あれは夏休みに入ったばかりの頃だったと思います。
私のふるさとは山に囲まれた盆地にあり、山と川は我々子供たちの遊び場でした。
近所の仲間たちと連れ立って、自転車を林道に停め、沢で魚取りをしていました。
何と言う名前だったか忘れましたが、沢には茶色の小石のように擬態し、川底に張り付いてじっとしている小魚がいます。
この魚を見つけると網を近くにおいて、反対側から追い込むようし、網でさっとすくい上げるのです。
この魚は鈍重そうに見えて、意外にすばやいので、大抵はタイミングを逃してしまいます。
網をすくい上げても小石しか入っていないことがほとんどです。
私たちは組みになって、何度も何度もこの単純な方法を夢中になって繰り返していました。
数匹がプラスチックケースの中を泳ぐようになった頃、網を持っていた仲間のひとりが声をあげみんなを呼びました。
「見てみろよ」と指さした青色の網の中には、真ん中に四角い穴のあいた古銭が一つ入っていました。
急遽、魚取りは中止となり、会議が開かれました。
「古いお金みたいだ」、「先生に聞いてみよう」、「高く売れるかも」などど話し合っているうち、兄が「お父さんの本棚に古いお金の本があったはず」と思い出し、私の家に引き返すことになりました。
何だかものすごい宝物を見つけたような気になって、帰路はみんな興奮気味でした。
父親の本棚から目当ての本を取り出し、調べてみるとどうやら江戸時代頃の銅銭のようです。
まだ10歳にも満たない頃、数百年の時を越えて姿を現した銅銭は、子供心を虜にしました。
想像力をかきたて、当時の様子を思い描いたり、川の底に沈むようになったいきさつなどを空想したりしていました。
これが私がアンティークに興味を持つようになったきっかけです。
古いものには、何かしら人の想いやぬくもりなどが、時間の流れの分だけ込められています。
また経年変化により新しいものにはない、深みのある色合いになっています。
アンティークのものの歴史に思いを馳せたり、その歴史に自分を加えることがアンティークを集める楽しみです。