前回に引き続きバングラデシュの話です。
今回はやさしいバングラデシュの人々についてです。
バングラデシュではいたるところで、親切なもてなしを受けました。
時にはあまりの親切ぶりに驚かされることがありました。
その中からいくつか紹介します。
バスに乗った時のこと、座席はなく立っていようとしたら、
すぐに若い男が立ち上がり、席を譲ってくれました。
また別のバスに乗り込んだ時には、運転手が乗客に向かって何か言いました。
するとやはりひとりがパッと立ち上がって席を譲ってくれました。
老人や女性ならわかりますが、この国では外国人もその対象に入っているようです。
バングラデシュのバスはいつも満杯で、中に入りきらない乗客は屋根に登ります。
座席は女、子ども、老人が優先され、若者はこうした人たちが乗り込んでくると、さっと立ち上がって屋根に登ります。
毎回席を譲られてばかりで心苦しかったので、次に満員のバスに乗ったとき、「オレは屋根に登るよ」と運転手に言いました。
ビックリして止められましたが、押し切って登ってみました。
風は気持ちいいものの、悪路でゆれて振り落とされないようにするのに必死でした。
インドに抜けようと長時間の移動の末、ようやく国境の村に夜中に着いたときのこと。
「ここの国境は外国人には開放されていない。ここからいちばん近い国境は1日かかる」と言われ、一瞬目の前が真っ暗。
「もう移動できる金もないし、銀行も宿もここにはない。いったいどうしたらいいんだ!」と役人に食ってかかると、「大丈夫、ついてきなさい」と自分の家へ案内してくれ、ベッドと食事を用意してくれました。
明朝、1000円ほどの金を渡され、「これでバスに乗りなさい。この男が案内する」と若者を紹介されました。
1000円はバングラデシュでは大金です(1人あたりのGNPは日本の120分の1)。
「こんなに受け取れない」と返そうとすると、「いいから持って行きなさい。何かの役に立つだろう」と言われました。
インドでは騙してお金を巻き上げようという輩にはたくさんを見てきましたが、何の見返りもなくお金を渡されるのは初めての経験でまごつきました。
他にも様々な場面で助けられ、多くの親切でやさしいバングラデシュの人々に出会いました。
旅に人とのふれあいを求めるならバングラデシュはオススメかもしれません・・・