藍と柿渋で染めた手紡ぎ糸が先日届きました。
想像以上の美しい色合いと風合いに感動しました。
さかのぼること約2ヶ月前・・・
「クロマニヨンのカレン族シルバーアクセサリーに、藍染の紐を使ってみたい!」と思い立ちました。
条件は次の2つ。
一 手で作られたもの。
一 こだわりや伝統のあるもの。
しかし、なかなか期待通りの紐は見つかりません。
日本の伝統工芸のひとつである伊賀の組み紐が当初候補に挙がったのですが、いろいろ難点が多く今回は却下。(いつかやってみたいと思っています。)
長い時間をかけたものの紐では思い通りのものを探すことができず発想を転換することにしました。
「紐は糸を撚った集合体。糸を探そう!」
そしてさらに時間をかけ、ようやく「これだ!」というものにめぐり合うことができました。
それが、(株)益久染織研究所の有機木綿で作られた手紡ぎ糸。
中国山東省の工房で、昔ながらの糸車をまわして1本1本手で紡いでいる糸です。
東南アジアの農村で子供が機織をする母親の隣で、この糸車をまわして絹糸を紡いでいる姿を見たことがあります。
その記憶とこの手紡ぎ糸のイメージが頭の中で重なりました。
早速、糸の見本帳を取り寄せてみました。
実際の手紡ぎの糸は私がこれまでに見たことのある木綿の糸とはどれも異なるものでした。
均質で単調な機械的に作られた糸とは違い、ふんわりとしていて太さにムラがあり、見ているだけでぬくもりを感じられます。
昔と変わらぬ伝統の方法で紡がれた手紡ぎ糸。
ほぐした綿を少しづつ糸車にかけて糸を紡いで行く・・・
いったいどれだけの時間が費やされるのでしょうか。うかがいしれません。
「これしかない!」と確信し、すぐに糸と染色(藍染め/柿渋染め)をお願いすることにしました。
染色は京都の染色工房、「手染メ屋」の青木さんが快く引き受けてくださいました。
青木さんは変った経歴の持ち主で何と東大医学部卒!!染色の道へ入るにはどのようないきさつがあったのか興味深々です。
藍染めは古代から世界各地で使われる染色方法で、日本でも江戸時代、木綿の普及とともに衣料の染色に好んで使われました。
一度の染色では深い藍の色は出ません。
藍は空気に触れ酸化することによって青が沈着していきます。
いわゆる藍色を出すためには何度も甕に入れられ、同じ作業が何度も何度も繰り返されます。
糸を受け取ってから青木さんに聞いたところ、10数回重ね染めされたそうです。
柿渋染めも日本人になじみ深い染色方法です。渋柿の苦味成分であるタンニンを利用しています。
防腐効果や耐水性にすぐれ、昔は傘などに使われました。
陽にあてると深みのある濃い色合いへと変化します。
色はお日様次第なので、曇りがちだった5月のお天気のせいで、納期が遅れ、この色を出すために染色を始めてから約20日間かかったそうです。
待ちに待った糸の染めの仕上がりは120%満足ゆくものでした。
自然から授かった藍の美しい色合いは夜の帳に包まれ始めた空の色にも似ています。
太陽の光をいっぱいに吸い込んだ柿渋の濃淡のある茶色は大地の土の色に似て泥遊びに夢中になった子供の頃の思い出がよみがえります。
これらの糸を紐にするために、まず3組8本づつに分け、糸撚り器にかけます。
次に糸撚り器を回し、内撚りをかけ、それから外撚りをかけます。
撚りをなじませるためにしばらく置いた後、糸を外すと約3mmの撚り紐ができあがります。
この紐にビーズを通して作ったブレスレットが次の2点です。
紐を作ったり、ビーズを削ったりと手間がかかるので、1日2~3本ほどしかできないのが残念ですが、クロマニヨンのこだわりをぜひご覧になってみてください!!