下の写真は今回の上海出張で手に入れた本です。
中国の吉祥文様から青銅器にいたるまで目に留まったものを文字とおり買い漁ってきました。
日本では手に入りにくいものなので、買わずに帰国して後悔するよりは、買って後悔した方がいいと、手当たり次第購入しました。
出発前にチェックインカウンターで計ったときは17kgくらいだったはずのスーツケースが、本のせいで帰国時には40kgを軽く振り切ったので大変慌てました。
機内預けにできる重さをはるかに超えていたからです。
2、3年前のタイ買付出張時、20kg近くオーバーしていて3~4万円くらいの超過料金を払わされた記憶がよみがえってきて冷や汗が出ました。
中国は西洋のものとは異なる独特の美的世界観を持っています。
装飾文様にはそれぞれに意味があり、単なる窓枠でさえも中国の美的世界を見ることができます。
線の集合体で作られた窓枠の装飾には、健康・長寿を表す「寿」などの文字が記号化した形が含まれていたりします。
記号化された形はひとつだけはありません。中国の長い歴史の中で数多く作られてきました。
直線と曲線で記号化、デフォルメされたこれらの文字は力強くで華麗です。
目に見える装飾だけではなく、耳に聞こえる音にも意味があります。
有名なものに福禄寿(フクロクジュ)があります。
幸福を意味する福。この福の音と蝙蝠(こうもり)の蝠の音が同じであることから蝙蝠は福をもたらす動物とされています。
同様に高給を意味する禄の音は鹿の音と同じであるため鹿はお金を授けてくれる動物とされています。
最後の寿は残念ながら音ではありませんが、万年茸とも呼ばれる霊芝が長寿の象徴として結び付けられています。
西洋では悪魔の使いの蝙蝠も中国ではまったく逆の役割を与えられているなんておもしろいですよね。
さらに挙げると、魚という文字の音と余裕の余の音が同じであるため、魚は豊かさを象徴するものとして装飾に現れます。
魚と蓮が同時に描かれれば、蓮は連続の連と同じ音なので、これは豊かさが続くことを表しています。
悠久の歴史に育まれた中国の装飾文様は知れば知るほどに前にも増して興味が湧いてきます。