チョウセンアサガオ(ダチュラ)の実体験とその危険性

aconite flower
猛毒トリカブトの花

「ごぼうと間違えてチョウセンアサガオの根を食べ、めまいなどの症状を訴え入院」というニュースを読みました。

この植物には苦い思い出があります。幻覚症状をもたらすこの植物を南米では呪術や薬草に使います。
植物マニアの友人に勧められ、ペルーの宿でお茶にして飲んだら大変なことに・・・

ベッドで寝たはずが、夜中中宿を徘徊、犬を檻から放すわ、他人の部屋で立ちつくして怒鳴られるわとまるで夢遊病者のよう。
翌日目覚めると、住人から冷たい視線が注がれました・・・。

チョウセンアサガオのお茶の効き目による奇行で宿で迷惑をかけたという話を別のところでしたら、「ぜひやりたい!」という強者ものたちが6人名乗りでました。

そんなに言うなら・・・ということで、私はお茶をつくりました。
前回の反省から私は飲まないということをあらかじめ断っておきました。

・・・1時間後

「効かないねー、ホントだったのー?」と疑いの声があがりはじめました。
仕方なく自分のときの倍以上は濃いお茶を作りました。

・・・さらに1時間後

雑談を交わしている途中ひとりが耳の穴に箸をつっこみながら話をしているのに誰も指摘しません。
オカシイなと思っていると、だんだんと話がかみあわなくなっているのに気がつきました。

「オレ、アメリカに電話する!」と叫んで電話をかけ始めるもの。
「トイレ、トイレ」とベランダから飛び降りようとするもの。
なぜか帽子を洗面所で洗い出すもの。
「牛乳につけて食うとうまいぞ!」ひとりがいうと「うまい、うまい」と言いながら前夜作ったナベの残りを牛乳に浸し始めるもの。

異常な行動が頻繁になり、飛び降りたりしないよう止めるのが必死でした。
異常な集団の中にいると正常だと思っていた自分が実は異常で彼らが正常なんじゃないかとさえ思えてきました。

・・・それからさらに6時間後

ようやく効き目が切れはじめ、正常な意識を取り戻し始めました。
みんなの異常行動を話すとほとんど覚えていないばかりか、「私はずっと寝ていた」と主張するものまでいて、なかなか信用しようとしません。

後片付けをしていると、さきほど「私は寝ていた」と主張したものが「財布がないの」とあちこちを探し始めました。
しばらくしてから財布が出てきました。
冷蔵庫の中から、タッパーにきちんと収められた状態で発見されました。

これは、インターネット黎明期で、伝聞しか情報入手先がない時代の話です。
面白半分で試すと取り返しのつかないことや、心身に予測できない強い作用をもたらす場合があります。

南米は治安の悪い地域もあり、トラブルに巻き込まれる危険性があるため、安易な気持ちで試すことは絶対に控えてください。

チョウセンアサガオ (別名:ダチュラ、曼荼羅華)

ナス科の植物。ボリビア、ペルーでは先住民の呪術師が宗教的儀式に用い、薬茶として売られています。

華岡青洲(1760~1835)は、チョウセンアサガオの茎や根を精製して、世界初とされる全身麻酔薬「通仙散」を開発しました。

この薬の効果を確かめるため、青洲は実験に自身の妻や母を巻き込みました。その結果、妻は薬の副作用によって失明し、母は命を落とすという、大きな犠牲を伴う研究となりました。

当時の日本は鎖国状態にあり、西洋医学との交流がほとんど途絶えていた中で、華岡青洲が成し遂げた業績は非常に画期的なものでした。

その一方で、家族を犠牲にして行われたこの研究は、壮絶なエピソードとして語り継がれており、現在でも医学史における重要な一幕として記憶されています。

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