ネパールでは、日本人女性とネパール人男性のカップルが、年間100組ほど結婚するという。
さらに多い年は、200組を越えるという。
カトマンズのタメル、ジョッチェン辺りを歩いていると、良くその組み合わせを見る。
たまにひとりで歩いている女性に、一緒に食事でもと声をかけると、ほとんどの女性に約束があるからと断られる。
約束の相手はもちろんネパール人男性だ。
ネパール人の友人と話しているとき、日本人女性とネパール人男性のカップルを見つけた。
友人が教えてくれる。
「彼らは結婚するのだって」
2人はとても幸せそうに見える。
実は私も、ネパール人の女性を嫁にどうかと言われたことがある。
ナムチェからルクラに向かう途中の小さな村でのこと。
私は、壁に温泉マークが描かれた宿に泊まることに決めた。
日本を離れてから一度も湯船につかってないからだ。
宿には、主人と奥さん、娘と息子がいた。
風呂に入ること以外することのない私はひまをつぶそうと、犬と遊んでみたり、ダイニングで本を読んだりしていた。
娘さんがダイニングに入ってきて、私に無料でチャーをごちそうしてくれた。
私は退屈しのぎに色々話しかけてみるのだが、英語のあまりできない彼女は簡単な質問しか理解できない。
解かったことは、彼女が15歳ということぐらいだった。
夕方、その様子を見ていたらしい主人が、本を読んでいた私に声をかけてきた。
彼も私に無料でチャーをごちそうしてくれる。
テーブルの向かい側に腰かけた主人は、おもむろに話しはじめる。
「日本にフィアンセはいるのか」
私は、いないとこたえる。
「日本人とネパール人は同じ仏教徒だ。思考や習慣も西洋人と違って似ている」
私はクリスチャンなのだが、だまって話を聞いている。
「どうだ、うちの娘と結婚しないか」
私は娘さんの歳を聞いて知っていた。
「日本の法律では15歳の女の子と結婚はできない」
主人は嘘をついてでも、日本人の婿がほしいらしい、こう言った。
「娘は16歳だから問題ない」
私は笑った。
確かに、主人が私に薦めるように、彼女は働き者だし、かわいい顔をしている。
顔は、安達祐美にそっくりだ。
しかし、歳が12も違う。
あなたの娘を嫁に欲しくなったら来年ここに来るから、と言って、その話を終わらせた。
夜、宿の家族が食事をしている。
彼らが食べているのは、茹でたジャガイモ、だけ。
それをおいしそうに食べる娘さんを見て、私は思う。
彼女が日本で暮らすのは、無理だよなあ。
彼女の生活と日本のそれは、言葉はもちろん、食生活、生活習慣などすべてが違いすぎる。
私は、日本人女性とネパール人男性の結婚後の話を直接ではないが、いくつか聞いた。
毎朝、水汲みから始まる生活にがまんできず、新婚家庭から逃げ出した女性。
男が金目当てだったことに気づいたが、離婚するために多額の金が必要だった女性。
自分が2人目の妻(一夫多妻)であることを知らずに結婚し、家族の生活費のためにネパールで働く女性などなど。
ちなみに、結婚から3年以内で離婚する確率は、90%を超えるという。