智は、しどろもどろになりながら何とかごまかそうとしたが、幸恵が、部屋の扉を少し開けて、智さん、どうかしたんですか? と顔を出したので、全ては御破算になった。建を見て幸恵は、ちょっと驚いたような表情をしたが、すぐに部屋の外へ出て、こんにちは、と頭を下げた。建は、ちょっと戸惑いながら、ああ、こんにちは、とだけ言った。
「智さんのお知り合いの方ですか?」
幸恵は建に尋ねた。
「ああ、前にバラナシで会ってて、今回またデリーで偶然再会したんだけど……」
建は、幸恵にそう言うと智を肘で突つきながら、ほら、サトシ、紹介してくれよ、と催促した。智は、はあ、と言いながら俯き加減でそれに答えた。
「あの、こちらは幸恵ちゃんと言って、建さんと別れた後にゴールデンカフェで出会った学生の女の子で、今朝インドに着いたばっかりだそうです。幸恵ちゃん、こっちは建さんで、さっき建さんが言っていたように、俺がバラナシで出会って昨日偶然この宿で再会した人なんだ」
「おい、智、お前ちょっと様子がおかしくないか? どうしたんだ、何かあったのか?」 建は、智の様子を見ながらそう言った。智は上目遣いに建の顔を窺い見ている。二人のその様子を見兼ねた幸恵が彼らの間に割って入った。
「建さん。私ついさっき、智さんにレイプされそうになったんです」
それを聞いた二人の表情が、一瞬にして引きつった。
「えっ、レイプって、智に?」
「ちょ、ちょっと待ってよ幸恵ちゃん、レイプだなんて、それはちょっと言い過ぎじゃないか?」
智は慌てて幸恵にすがりついた。
「だって、本当のことですよ」
幸恵は飄々とそう言ってのけた。
「ええっ、レイプって、智、マジかよ? 大丈夫だった、幸恵ちゃん?」
建は心配そうに幸恵の様子を窺った。
「ええ、一応。でも、そうなる前に智さんのこと思いっ切りひっぱたいちゃいましたけど」 建は、呆気に取られたような表情で二人の様子をしばらく見比べると、押し殺したような笑いを洩らした。
「ククク、それで智はしょげてるのか。ハハハ、どうりで元気が無いと思ったよ」
智は、下を向いたまま二人の方を見ようともしない。
「幸恵ちゃん。ほら、智もああして反省してるようだし、許してあげてよ。見た所幸恵ちゃんも大丈夫みたいだし。智をかばう訳じゃないけど、やっぱり長旅してるとどうしても女の子が恋しくなるものなんだよ。特にインドなんて女っ気が全然無いしストイックな旅だから、女の子と二人っきりで一緒の部屋になんかいたら変な気になっちゃうものなのさ。それに幸恵ちゃん、かわいいからさ」
建がにやにやしながらそう言うと、幸恵はちょっと照れたような、怒ったような口調でこう言い返した。
私の投稿が一人目だったんですね~
私も何だか感動しちゃいました、
残念ながら涙は出なかったけど・・
きっと私の他にもこの連載を楽しみにしている人は
たくさんいると思います、
だからめげずにこれからも書いてくださいね!
このお話しを読んでいて、
若いころのワクワクした好奇心やときめきを
少し思い出せたような気がします。
ところでこのお話しは「ある旅行者の実体験をもとに・・」とありますが、
いつ頃のインドでのことなんでしょう?
智君はまだ20代ですよね?
こんなこと聞くのって無礼なのかもしれませんね・・・
>花子さん
度々ありがとうございます。引き続きお読み頂けているようで、とても嬉しいです。
実はこの作品は完結しております。
そして私はサイトの運営に携わっておりませんので、あまりチェックもしておりません。レスポンスが遅く、申し訳ございません。
この作品の舞台になっているインドは今からちょうど10年前ぐらいです。当時、智くんは24、5才ですね。そして私は現在35才です(笑)
これからもお読み頂けると、本当にうれしいです。よろしくお願いしますね☆
あ、あと、もしmixiやっていらっしゃったら、ニックネーム、sateuxで検索かけてみて下さい。つまらん日記ですが、気が向いたとき綴っております。
これを御覧になった他の皆さんも、よかったらあそびにいらして下さい。メッセージとか頂けたらうれしいでっす。
では、また。
書き込み頂いて、本当にうれしいです。
今後ともよろしくお願いしますね。ヾ(^_-)ゝ