「ええ、もう凄いですよ。何だか興奮しちゃって。私、こういうアジアの国はインドが初めてだから、今まで見たことない物ばっかりで……。何か、街全体からエネルギーを感じるんです。人を見ててもそう思います。何か発散してるんでしょうね、きっと。気をつけてないと、押し潰されちゃいそうで」
智は、幸恵の話を笑いながら聞いていたが、相変わらず背筋に寒気のようなものを感じていた。太陽の光と熱で、冷や汗が頬を伝う。
「どうしようか。写真、どこで見る? 俺の部屋、来る?」
「ええ、いいですよ。智さんの泊まってる所って、ここから近いんですか?」
「ああ。すぐそこだよ」
二人は、智の泊まっているゲストハウスに向かって歩き始めた。依然、太陽の光は容赦なく二人を照らしつけている。街は熱せられ、太陽は、風景を歪んで見せる ―――
相変わらずゲストハウスのレセプション付近はたくさんの旅行者で溢れ返り、混沌とした様相を呈していた。智と幸恵の二人は、それらを分け入って中へ入り込んで行く。
「わあ、凄い、バックパッカーだらけですね」
幸恵は、辺りを見回しながらそう言った。
「ああ、このゲストハウスはおかしな奴らがたくさんいるからな。おかげであんまり退屈しないよ」
「私の泊まってる所には、あんまりこういう人達っていないですね」
「ここは安いからね。多分、穴場的な所なんだと思うよ」
「一泊いくらなんですか?」
「八十ルピーだよ」
「ドミトリーですか?」
「シングルだよ」
「えっ、そんなに安いんですか? 私の泊まってる所は三百ルピーもしますよ」
「だってそれは、シャワーもトイレもあるだろ?」
「エアコン付きです」
「ハハハ、そりゃあそれぐらいするよ」
「だって、”地球の歩き方”に、初心者でも安心なゲストハウス、って書いてあったから……」
「見てみれば分かるけど、俺の部屋なんて、ひどいぜ。シャワーもトイレも一応あるにはあるけど……。まあ、来てみなよ」
智達は階段を上がって行った。吹き抜けのロの字型のフロアでは、様々な人種の様々な
住人達が、様々なことをしている。通路の柵に洗濯物を干している者、何をすることもなく、ボーッと天井を見上げて座り込んでいる者、楽器を演奏している者、嬌声を上げながら何人かで話し込んでいる者……。あちこちから色んなジャンルの色んな音楽が聞こえてくる。所々から時折、白煙が立ち昇る。
私はインドがとても好きです。
智くんのこれからの展開が楽しみです。
文章のタッチも私好みでとても読みやすいです。
これからも頑張ってください、応援しています。
>花子さん
おお!
ありがとうございます。
ついにコメントが(泣
拙い作品ですが、今後とも読んでいただけると嬉しいです。
これからもよろしくおねがいしますね。