この投稿はカレン族シルバーの銀純度に詳しくまとめました。
カレン族銀細工の村に3日間滞在し、カレン族の風習、文化、カレン族シルバーの歴史などを学んできました。
今日はカレン族シルバーの銀純度、カレン族シルバーの現状についてご紹介します。
純銀
銀純度とは
シルバーはそれ自身では非常に柔らかすぎてアクセサリーなどの加工に向かないため、耐久性や強度を補う目的で銅など他の金属を混ぜ合わせます。
シルバーの純度は千分率で表されます。よく聞く「シルバー925(SV925)」とは、シルバーが92.5%でその他の金属が7.5%であるということを意味しています。
これは「スターリングシルバー(sterling silver)」と呼ばれています。sterlingには「純粋な、確かな」という意味合いがあります。
カレン族シルバーの銀純度は?
一般的なシルバーアクセサリーはスターリングシルバーで作られています。
カレン族シルバーの銀純度は何%なんだろうと疑問に思い、初めてカレン族銀細工の村を訪れた時に聞いてみました。
92.5%だという人もいれば、95%だという人もいて聞く人によって言うことが違います。
タイのカレン族シルバーを販売している店にも聞いてみましたが、ピュアシルバーという人もいればよくわからないという人もいます。
当時の私のタイ語は「こんにちは」「ありがとう」ぐらいで、英語ガイドを伴っての訪問でした。
ガイドも英語に堪能ではなく、当然ながらシルバーの知識などは皆無なので、質問の意図がなかなか伝わらず大変苦労しました。
今回の訪問で、同じ質問をカレン族シルバーを作り続けて30年のジョディ氏に尋ねてみました。
ジョディ氏
ジョディ氏は私にも聞き取りやすい中央タイ語で答えてくれました。
「カレン族シルバーは銀純度95%または97%を用います。」
—-「95%と97%の違いは何ですか?」
「通常は95%です。デザインやビーズの形によって97%を用いる場合があります。」
続けてジョディ氏は語ってくれました。
銀価格高騰とカレン族シルバーの現状
「以前は純銀をチェンマイで購入し、ここで純度を調節していました。
当時の銀価格は安定していて、価格もほぼ一定でした。
しかし、昨今は銀が高騰し、日々上げ下げを繰り返します。
銀価格がほんの少し下がっただけで、利益が出ないばかりか、職人たちへの労賃も払えなくなってしまいます。
以前はここもたくさん職人がいました。
チェンマイで銀を購入し、カレン族シルバーを製作、チェンマイの各店へ持ち込んで買い取ってもらっていたのですが、現在は銀購入は損失が大きくなるので止めました。
今は店(チェンマイのカレン族シルバー店)から銀を預り、オーダーされたものを製作しています。」
カレン族シルバーの職人
原油価格上昇、各国の貨幣価値の下落が、投機マネーを貴金属に向かわせる要因となり銀価格は数年前の2.5倍にもなっています。
わずか1ヶ月の間で20%近くも変動することがあります。
にぎわっていたチェンマイのカレン族シルバー店も多くが開店休業状態、がらんどうの陳列棚が厳しい現状を物語っています。
私自身も以前は3~4ヶ月に一度はチェンマイを訪れていたのですがチェンマイに行っても店に在庫がないため、チェンマイを行くのを止めて、日本からオーダーするようになりました。
チェンマイのカレン族シルバー店の店主があきらめ顔で語っていたのが強く印象に残っています。
「昔は九割が日本人のお客さんだったよ。今は一割しかいないね。残りはみんなファラン(白人系西洋人)。日本人なんで来ないの?」