カレン族の納豆
カレン族シルバーの村の朝食。敬虔な仏教徒でベジタリアンのジョディ家ではタイ料理に欠かせないナンプラーさえ使いません。ナンプラーは魚から作られる醤油だからです。
カレン族の朝食
カレン族の納豆
こちらの料理は何と納豆!名前はトゥアナォ。訳すと腐った豆。タイ語では「豆+腐った」と修飾語が名詞の後に来るので日本の修飾順序にするとナォトゥア・・・納豆です!
納豆に唐辛子、にんにく、塩を入れて味付けします。味はタイ料理のえびを発酵させた料理「ガピ」にそっくりで納豆の味はあまり感じられません。
納豆の煎餅
こちらの煎餅もこれまた納豆!納豆を薄く伸ばして日光で乾かし揚げたものです。味はまさに納豆そのもの。納豆を乾燥させるとこんな感じなんでしょうね。
カレン語で「納豆」は何と呼ぶのかジョディさんに聞いてみました。トノウだと教えてくれました。「おいしい」も聞いてみたらウィーと言うようです。発音は任天堂のゲーム機と同じです!
ジョディさんの家では納豆を作って売っています。しょっちゅうお客さんがやってきます。1個1バーツ(2.8円)。通訳のタイ人に尋ねるとタイ人は納豆を作らないようです。
納豆を作るお祖母さん
納豆を作るため火の番をするお祖母さん。納豆の作り方を聞いてみました。「豆を半日茹でて、3日間置いとくんじゃよ」との答え。えっそれだけですか?
「それだけじゃ」念を押してお祖母さん聞いてみるも即答。カレン族の納豆、簡単過ぎるにも程がありますね。納豆菌は稲の藁に多く生息しているそうなので茹でてほっとけば納豆になるのでしょうか。
でも同じ稲作をするタイ人は納豆を食べません。通訳のタイ人においしいよと勧めてみましたが、においをかいだら顔を背けてしかめっつらをしました。子供の頃から食べていないと無理なようです。タイだって発酵食品たくさんあるのに・・・
カレン族と古代日本人の共通点
納豆で文化人類学の倭族論を思い出しました。カレン族と古代日本人倭人にはいくつか共通点があります。貫頭衣、高床式建物、下駄等。
稲作を伴い日本に渡来した倭人と祖先を同じくし、また同系の文化を共有する人たちを総称として倭族と呼びます。争いに敗れ、または新天地を目指し、東に進んだのが古代日本人、南に進んだのがカレン族他の民族。納豆でそんなことを夢想してみました。
カレン族の伝統的な高床式家屋
カレン族の伝統的な高床式家屋。郷愁を呼び起こすようなどこか懐かしい原風景。村には立派な家も増えていますが村外れにはまだのこのような伝統的な家が多く残っています。
ジョディさんが着ているのがカレン族の伝統民族衣装。貫頭衣を着る民族は近隣諸国でカレン族系だけです。魏志倭人伝には古代日本の倭人は貫頭衣を着用すると書かれています。
貫頭衣と高床式家屋はカレン族と倭人の共通点。魏志倭人伝に書かれた邪馬台国の風景はきっとこのようだったのかもしれません。