ターコイズ、和名トルコ石。仏語で「トルコの」を意味します。古い時代、現在イランのホラーサン地方で産出しました。ホラーサンはシルクロードの重要拠点で、ペルシャ系、トルコ系の王朝が勃興を繰り返し、イスラム文化の一大中心地でもありました。
十字軍の遠征で東西交流が活発となり、ベネチア商人は当時のトルコの市場で仕入れた青い石を「トルコの石」として西洋にもたらしました。
この一帯のモスク(イスラム寺院)のドームは鮮やかなターコイズブルーで覆われています。青は空の色の象徴であり、天国への憧憬が潜んでいます。
ターコイズの鉱床は乾燥地帯にあります。色彩感の乏しい乾燥地帯の自然環境や景観の中、ターコイズブルーは信仰の対象となったり、独特の美意識を形成したのでしょう。
天然無着色で一つ一つ色の異なるターコイズビーズは空や大地を連想させます。黒のビーズはカレン族の装飾品として代々使われてきたアンティークビーズです。ズニ族(北アメリカ)の伝統的装飾品のパターンを取り入れました。
朱色のビーズは地中海産の珊瑚(コーラル)で、19世紀頃、交易品としてチベットにもたらされたアンティークビーズです。19世紀初頭に日本の近海で発見されるまで珊瑚は地中海産しかなく希少で極めて貴重な宝石として珍重されました。
青緑のビーズは古代より災いから身を守る石として身につけられてきたターコイズです。ターコイズにはさまれた直径1.3mmほどの小さなシルバービーズにさえもカレン族の刻印が見事に打ち込まれています。
スカイブルーのビーズはアリゾナ州のスリーピングビューティー鉱山のターコイズです。その美しいスカイブルーは地球を包む大いなる空の色の象徴であり、乾いた大地を潤す水の色を象徴しています。